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鎌倉長谷寺観音堂背面の不安定斜面を吹付で保護

キロ・フケール工法

発注者からの課題

鎌倉長谷寺(左・山門、右・放生池)

 高台に位置する境内からの眺望と紫陽花で有名な、鎌倉の長谷寺。一年を通じて花の絶えることのない境内は、散策がてら訪れる観光客が絶えることがありません。本尊である十一面観音菩薩像(長谷観音)は、像高9.18mと木造としては日本有数の巨像です。
 その本尊が安置される観音堂の裏にあるほぼ垂直の崖に、表層崩壊の可能性があるため、モルタル吹付による表面保護を施工することになりました。四季を通じて参拝客が絶えない中で、施主から「工事中であることを参拝客に悟らせずに、法面保護工事を施工してほしい」との要望がありました。

鎌倉長谷寺(観音堂)

日特建設の提案

 「遠くまでモルタルを送り届けるには」という命題に対し、一般的には圧送圧力を高くし、それに伴い配管材も耐圧の鉄管等を用いる方法がとられます。しかし本現場では、配管材として径1.5インチのホースを用いる「キロ・フケール工法」を適用し、ホースを隠しながら、境内敷地内に設置した材料プラントから観音堂の裏までの計300mを、材料圧送・吹付することにしました。
 当工法では配管材としてホースを使用するため、圧送圧力を3MPa以下で制御し、それに伴い、3MPa以下で圧送できるモルタル材料を用意します。材料に「チクソトロピー性」というマヨネーズの様な性質を与えることで、ホースによる長距離圧送を実現しています。

キロ・フケール工法の材料プラント
参拝客の視線から隠れながら、ホースで材料を圧送

 ホースは、あるときはツツジの咲く庭園内の側溝を、またあるときは床下を通り、見事に参拝客の視線から隠れながら、観音堂の裏山まで無事モルタルを送り届けました。景観になじむ茶色に染められたモルタルは、10cm厚さで対象法面にキレイに吹付けられました。強度も所定の24N/mm2を確認できました。

茶色に染められたモルタルを吹付

 キロ・フケール工法の圧送可能距離は、その名の通り1km。でも、今回の施工に使ったホース長はたった300m。直線コースならば、配管材として鉄管を使用する、より安価な吹付工法でも対応できたかもしれません。
 でも施主は、キロ・フケール工法を使ってホースを回り道させ、工事現場を参拝客に「見せない」ことを択ばれました。その参拝客への細やかな配慮に、観音様の深い愛を感じずにはいられませんでした。

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