港湾岸壁の液状化対策注入工事
超多点注入工法
発注者からの課題
現在、全国各地で港湾岸壁の耐震化が進められています。
液状化対策を目的とする薬液注入では、一般に恒久グラウトを浸透注入する方法がとられます。その中でも、効率化を目指して注入速度の増大、既設構造物との近接施工への対応という工法提案が求められました。
岸壁での薬液注入施工 |
日特建設の提案
本現場では、恒久グラウト注入工法の一つである「超多点注入工法」が採用されました。
砂層へ浸透注入を行うには低速度での注入が望ましいですが、それでは施工能率が大幅に低下します。そこで、その欠点を補うべく、同時多点注入を行うことにしたのが、この工法です。
超多点注入工法とは、ストローのような「注入細管」を用いて球状浸透を図るもので、各々の注入細管がポンプと地盤内の注入ポイントを結び、薬液を注入します。各注入ポイントに対して流量を制御できるのが特徴となっています。
ポンプユニット(低吐出ポンプが32個配置) |
地盤内に設置する注入ポイント |
一つの注入ポイントに対して一つのポンプが薬液を圧送する超多点注入工法。つまり、注入ポイントが多ければその数だけ注入細管も必要となります。ポンプから注入孔の間を注入細管がつなぎ、注入孔には、注入ポイントの深度毎に長さを変えた注入細管が、注入ポイントの数だけ束ねられ、挿入されます。
超多点注入工法のプラント設置状況 |
「そこまで手間をかけるメリットがあるのか」と思われた方も少なくないと思いますので説明します。多数のポンプと大量の注入細管を管理しなければならない上、一つのポンプは毎分0.5〜10ℓと低吐出でも、32箇所同時に注入することで毎分16〜320ℓとなります。低速注入を守り割裂による地盤変位を回避しながら、高速度の注入を実現できるのです。また、管理は専用システムで、注入ポイント毎に自動制御できるので、労力も軽減されます。
専用システムによる注入管理 |
同時多点への低速注入と、高浸透の恒久グラウトの相乗効果で、地盤変位を最小限に抑えることに成功した超多点注入工法。注入細管のコンパクトさも手伝って、線路近傍など変位が許されない場所での施工に適した仕上がりとなっています。
「超多点」を生かし、社会に貢献していきたいです。
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