既設防潮堤の耐震補強工事
エキスパッカ-N工法
発注者からの課題
現在供用中の河川において、防潮堤の耐震補強工事を施工することになりました。施工ヤードは、右岸・左岸を鋼矢板で締め切り、排水を行うことで確保しますが、締め切った中での狭隘なスペースで、施工ができる工法の提案が求められました。
既設防潮堤の耐震補強工事 |
日特建設の提案
施工機が小型であり、既設構造物への影響が少ない液状化対策地盤改良工として、エキスパッカ-N工法が採用されました。
エキスパッカ-N工法は、液状化対策注入の効率化・高速度化を実現すべく開発された、NITTOCの「N」を冠する工法です。薬液の浸透源を(点ではなく)柱状空間としたところが特徴で、地盤と薬液が接する面積を大きくとり、浸透注入の効率化を図っています。
薬液注入工事では、地盤を削孔後注入管挿入までの手順は共通。注入範囲を限定し、範囲外へ薬液を逃さない工夫が必要です。注入管と孔壁の間をグラウト等で閉塞する方法が一般的ですが、エキスパッカ-N工法が採った方法は「ソイルパッカ」、袋体を膨らませて作る仕切りです。発想の転換で、柱状空間を仕切ることに成功しました。
改良体の造成に用いる注入外管は、径120mmの孔があれば建て込むことができるので、削孔機械は小型なもので十分。後は、ホースでプラントと注入外管を結び薬液を送り込めば、施工完了となります。
この現場では、供用中河川の仮締め切りという狭隘な条件下で、既設コンクリートをコアカッターで、地盤を特殊小型ボーリングマシンで削孔し、実にコンパクトな施工が実現したのです。
防潮堤底部コンクリートをコア抜き |
特殊小型ボーリングマシンでの削孔 |
注入外管に恒久グラウトを注入 |
狭隘な作業スペースで、直径約3mもの大型改良体を造成するエキスパッカ-N工法は、低速注入で周囲に与える変位もごくわずか。供用中の構造物付近での施工に必要な条件を併せ持っています。
個性を生かした活躍を期待したいところです。
関連情報
◆地盤改良による液状化対策工法
・柱状の大きな浸透源を確保>>エキスパッカ-N工法
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