のり面の安定および植生環境の維持
ジオファイバー工法
発注者からの課題
切土法面の対策工には、地山自体を深くから補強する地山補強土工と法面の面的な保護を目的とする法面工があり、従来これらの対策工には、コンクリート等の剛構造物を多用していました。しかし、剛構造物上では植生の定着が難しいことや、周辺景観との調和が図りづらい面があり、近年では、植生環境に配慮した法面保護工法が求められる傾向にあります。植生環境に配慮した法面保護工法としては、法面の安定保護と植生の定着を併せ持つ複合的な対策工法が必需であり、発注者側からの課題を整理すると以下のようになります。
・コンクリートに代わる材料で法面保護対策を行い、緑化する。
・コンクリートを使用するが最終的に見えない状態とし、緑化された法面を作り上げる。
・既存の植生を保護しながら、法面保護し、緑化する。
日特建設の提案
当社の開発したジオファイバー工法は、法面の保護目的によって3つの工法を組合わせた、複合補強土工法で、一つ目は、法面の安定保護を図る「地山補強土工」、二つ目は、法面の面的な保護を目的とする砂質土と連続繊維を混合した「連続繊維補強土工」、三つ目は、植物を生育させる「植生工」です。
連続繊維補強土は、従来多用されてきたコンクリートと異なり、砂と繊維を組み合わせた柔構造物であり、法枠工やコンクリート・モルタル吹付工の目的を果たします。また、急勾配なコンクリート面上にも安定的に厚く造成することが可能であることから、コンクリートを用いてもこれらを被覆し最終的には見えない状態として、緑化された法面をつくりあげることもできます。さらに土構造物であるため、既存木の保全が容易です。
これらの特徴からジオファイバー工法は、コンクリートのようにヒートアイランド現象を助長することなく、温暖化への環境影響も少ない工法と言え、既存木の保全や樹林化が可能で、環境の改変が少ない斜面安定保護工法です。なお、この工法の連続繊維補強土は、1992年5月に土木系材料としての技術審査証を取得しており、連続繊維補強土の機械化施工技術については2000年3月に建設機械化技術審査証明を取得しています。
1.法枠工とロックボルト工を併用し、被覆修景した例
法枠工とロックボルト工により斜面の安定を図り、法枠工の修景と植生の導入にジオファイバー工法が採用されました。
法枠工とロックボルト工完了 | 連続繊維補強土工施工状況 |
緑化完了 |
2.法枠工とグラウンドアンカー工を併用し、被覆修景した例
風致地区内の地すべり対策法面に500×500の大断面法枠工とグラウンドアンカーを施し、斜面安定対策工を実施。当地区が風致地区内に位置するとこから、連続繊維補強土で法枠工を全て被覆し、周辺の森林と早期に調和が図れるように、樹林化を図りました。
連続繊維補強土施工状況 | 厚層基材吹付工施工状況 |
施工完了後6年経過 | 施工完了後4年経過近景(5m位のヤシャブヤシ) |
3.既存の植生を保護し、急傾斜地崩壊対策を実施した例
従来、既存斜面に生育している樹木は、全て伐採し地山表土を取り除き、整形した後に法面対策工を実施していましたが、このような方法では、環境の改変が大きいことや、伐採や地山表層の整形に多大な費用が発生します。既存木を保全しなが急傾斜地崩壊対策を実施したことで、環境の改変を抑え緑の斜面空間を創造しました。
連続繊維補強土施工状況 | 既存木を保全しながら連続繊維補強土施工 |
既存木を保全し緑化完了 | 既存木を保全し緑化完了 |
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