技術情報

既存港湾岸壁の耐震化工事

グラウンドアンカー工法

発注者からの課題


 兵庫県南部地震で、幹線道路や鉄道等が被災したのは記憶に新しい。そのことを受けて今、海上輸送が見直されている。岸壁は災害時に緊急物資輸送の拠点となることから、現在既設岸壁の耐震化が各地で計画・施工されている。
 これまで岸壁の耐震化技術は地盤改良が一般的だったが、供用中の岸壁利用をできるだけ妨げない工法として、経済的な上、作業ヤードが小さく施工期間も短いグラウンドアンカー工法が採用され始めている。
 港湾耐震補強アンカーには、山岳等での仕様と異なる部分が3つある。1つは削孔時にどうしてもケーソン基礎やケーソン背後の基礎マウンドに存在する「裏込石」を通過しなければならないこと、2つはアンカーが長尺となること、3つは設計アンカー力が非常に大きいことだ。これらの問題について、適切に対応することが求められた。

既存港湾岸壁をグラウンドアンカーで耐震化
グラウンドアンカー工法による既存港湾岸壁の耐震化

日特建設の提案


 アンカーの施工では、通常ロータリーパーカッションドリルによるトップハンマー方式の削孔方法が用いられる。しかし、裏込石(玉石相当)の削孔には非常に長い時間がかかり、困難を極めた。
 そこで、ダウンザホール方式の超高水圧式ハンマードリル「Wassara(ワッサラ)」を導入。すると削孔時間が大幅に短縮され、効率化を図ることができた。

水力式ダウンザホールハンマ
水圧式ハンマードリル「Wassara(ワッサラ)」

 長尺アンカーの場合、当然削孔長が長くなるため「孔曲り」のリスクが高くなる。しかし、グラウンドアンカーの施工に際しては、高い削孔精度が求められる。
 そこで全孔を対象に、特に孔曲りの発生リスクが高い裏込石通過後、ジャイロ計測による削孔精度確認を行った。

ジャイロによる孔曲り計測
ジャイロ計測による削孔精度確認

 グラウンドアンカーは、アンカー体を挿入しただけでは何の効力もない。定められた緊張力を確実に導入し、定着しなければならないのだ。そこで、当社独自のアンカーリフトオフ試験管理システム「Licos(リコス)」を導入した。
 Licosは、最大5本のアンカーを同時に均等に緊張することができる。しかもジャッキ操作やデータのモニタリングは、遠隔からPCのタッチパネルにより行う。確実性に加え、安全性も格段に向上した。

Licosにより複数のアンカーを同時に緊張
Licosにより複数のアンカーを同時に緊張

 「アンカーで耐震化」の魅力は、経済性や施工性だけではない。まだ実績は少ない港湾耐震補強アンカーだが、解析・実験により耐震効果が確認されている。また、防食性能についても確認済で、耐久性も十分だ。
 日本に暮らす限り、地震からは逃れられない。グラウンドアンカー工法を通じて、地震に強い国土づくりに貢献したい。

関連情報

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・柱状の大きな浸透源を確保>>エキスパッカ-N工法

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