技術情報

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道路沿いの斜面における落石対策工事

キロ・フケール工法

発注者からの課題

道路沿いの斜面に不安定岩塊が

 道路沿いの斜面に、不安定な岩塊がごろごろ・・・。道路防災点検でよく見かける光景である。それが通行量の多い道路なら「すぐにでも対策を」というのが住民の率直な想いだろう。
 現場は国道沿いに面した斜面上の不安定岩塊。3箇所ある不安定岩塊を根固め工により安定化させる。
 もし国道から現場にアプローチできたなら、問題は比較的簡単だったかもしれない。しかし現実は厳しく、海に面したこの国道は迂回も難しく通行規制が困難。「裏側から山を越えて、現場まで材料を圧送する」という課題が与えられた。

日特建設の提案

 課題を克服するためには、長距離圧送が必須。しかし、長距離圧送を伴うモルタル吹付自体が非常に特殊で難しい技術だ。しかも、モルタルの長距離圧送には高い圧力が必要で、それに耐えうる鋼管を、起伏激しい雑木林で配管することが困難なことは、明らかだった。
 そこで、高い圧力をかけずに長距離圧送をしたいという発想から生まれた「キロ・フケール工法」を導入。
 キロ・フケール工法は、圧送する材料にチクソトロピー性を持たせることで、長距離圧送を実現する。先の実証試験では(鋼管ではなく)1.5インチホース(3MPa耐圧)による水平方向1,000m圧送に成功している。

1000mのホースを使っての材料圧送・吹付実験

 700mの距離はともかく、90mもの高低差は、キロ・フケール工法にとって初めての経験だった。
 事前検討で、クリアできることを確認してから挑んだ現場。山の裏側に設置したプラントから施工位置まで700mものホースを敷設。ホースは425m地点で標高差90mの山頂まで到達、さらに275mの下りを経て施工対象の崖までつながる。

キロ・フケール工法の材料プラント

 材料の流量・圧力は当社独自「COGMAシステム」で制御。一定の品質を確保しながら、吹付けによる根固め工を無事施工した。一軸圧縮強度24N/mm2(σ28)も確保している。

 

ホースを施工箇所まで敷設しての施工
キロ・フケール工法による根固め施工完了

  ホースのおかげで、プラント〜施工位置間の敷設だけでなく、3つの岩塊間の移動もスムーズに行えた。これは作業の効率化が図られたことを意味している。
 「キロ・フケール工法」の出現により、急峻な斜面の崩落・落石対策が、より身軽に、より身近になったのではないだろうか。

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